生きていると示して

また護れなかった
強くなりたいと願った筈なのに
強く在りたいと思っていたのに


痛みが欲しい
自分は弱いと、
そう教えてくれる痛みが欲しい。

傷口に塩を塗れと云われれば
躊躇することなく塗り込むだろう
傷口を抉れと云われれば
更に傷口に刃を突き立てるだろう


教えて欲しい示して欲しい
自分はこんなにも脆弱だと
自分はこんなにも無力だと
示して欲しい教えて欲しい

焼け付くような痛みで
切り裂くような痛みで
慟哭さえ噛み殺し
自らを屠るように

生きていると教えて欲しい
痛みが欲しい
弱いと教えて欲しい




そしてまた、強くなりたいと願うから









煙草もカッターナイフもない
疵痕だけが薄れて行く
忘れたくない
憶えていたい
自分は弱いと
自分は愚かだと
自分なら幾ら傷付いたって構わない
だからどうか誰も傷付かないで欲しい
傲慢な自分をどうか赦さないで